熱損失診断INSTALLATION

熱損失診断

保温材・保冷材は、経年により性能が劣化し、配管やタンクなどの設備に対して、当初期待していた「熱が損失することを防止する効果」を次第に発揮できなくなります。そのため、保温材・保冷材については、定期的なメンテナンス作業が必要不可欠です。
しかしながら、保温材・保冷材が広範囲に施工されている場合には、費用や工期の制約の観点から、すべてを更新することは困難な場合があります。また、施工箇所における保温材・保冷材が均一的に性能劣化していくのではなく、場所により性能劣化状況が異なる場合があります。そのため、効率的かつ効果的なメンテナンス作業を実施するためには、対象となる保温材・保冷材の現状を把握し、実施対象の優先順位を定める必要があります。
当社では、その際に、有効となる手法が「赤外線サーモグラフィーによる熱損失診断」であると考えております。

このような方におすすめです

  • 「保温・保冷の劣化が心配」(保温材の脱落や雨水侵入調査、吸湿・吸水による保冷効果の劣化診断)
  • 「熱の漏れが気になる」(不要なスキマや隠れた金属サポートの位置確認)
  • 「充填された粉末パーライトの沈下が気になる」
  • 「炉体などの温度分布、炉材の劣化測定、脱落調査をしたい」
  • 「配管本管やトレース管などからすでに漏れていることはわかっているが外観からは場所が特定できないので困っている」
  • 「配管や機器の熱損失を軽減したい」

赤外線サーモグラフィーとは

モニター画像

「赤外線サーモグラフィー」とは、対象物から出ている放射熱を検出し、温度分布を画像化する装置もしくはその方法をいいます。正しくは、装置を「赤外線サーモグラフィー装置」、方法を「赤外線サーモグラフィー法」と、装置と方法を区別すべきですが、一般的には、装置も方法もまとめて「赤外線サーモグラフィー」と呼称、表記されています。

特徴

  1. 一面の温度分布として捉えるため、可視化情報として広い範囲の表面温度を相対的に比較することが可能。
  2. 対象物の温度分布を離れた場所から、非接触・非破壊にて温度測定をすることが可能。
  3. 動いているものや危険で近づくことができないものでも、簡単に温度測定することが可能。
  4. 温度変化の激しいものや短時間の現象であっても、リアルタイムで温度測定をすることが可能。

赤外線サーモグラフィーによる熱画像の解析

赤外線サーモグラフィーにより、把握された熱画像の情報に加え、内部温度、外気温度、風速などの諸条件を考慮し、熱計算を実施することで、対象物の熱の損失を把握することが可能になります。さらに、対象物の熱損失回避によるランニングコストの年間削減金額を把握することが可能になります。

表面からの赤外線測定なので、ケーシングの内部、ガラス越しは測定できません。

スチーム配管温度測定

事例1 破損等がなく正常な場合

サーモグラフィー

保温状態としては良好な状態です。

計算条件と計算結果

「保温厚さを指定して放散熱量、表面温度を算出」

計算条件
  • 内部温度(θsi):130℃ 外気温度(周囲温度)(θa):10℃
  • 表面熱伝達率(hse):12W/m2・K
  • 保温材の内径(Di):65A(0.0763m)
  • [第1層] はっ水性パーライト保温板(筒)4号-18 50mm
  • 熱伝導率:0℃≦θ≦600℃ 0.0483+1.27×10^-4・θ+3.7×10^-8・θ^2 (W/m・K)
計算結果
  • 平均熱伝導率(λm)=0.0579W/m・K
  • 放散熱量(ql)=48.9W/m
  • 表面温度(θse)=17.4℃

事例2 配管の保温材が脱落

サーモグラフィー

蒸気配管(65A×50t)の保温材が赤の矢印部分で脱落している。
Sp1で130.6℃で表示されている。

1年間の熱損失額

保温材が脱落していて、3mほど保温材がない状態と想定。

効果
  • P 年間損失熱量  KW/Y 14,283
  • Q 1年間の効果額  円/年 71,414

事例3 随所の保温材が脱落

サーモグラフィー

赤の矢印の部分の様に、バルブ、フランジなどのカバーやエルボの保温材が欠損、欠落している箇所が点々とみられる。

1年間の熱損失額

50A×50tの配管で、バルブ、フランジ、エルボ(全て0.1mと設定)の保温材が50箇所欠損していると想定(0.1m×50箇所=5m)。

効果
  • P 年間損失熱量  KW/Y  20,163
  • Q 1年間の効果額  円/年 100,817

調査の流れ

お問い合わせ 当社担当者が訪問 熱画像カメラ(※)による撮影 画像データから熱損失診断 診断結果を書類化 結果説明 最適な工事施工のご提案

熱画像カメラ(※)

当社では、世界シェアNo.1のFLIR Systems社製の熱画像カメラCPA-0170Aを使用。

  • 画素数19,600pixel(140×140)
  • 解析ソフト FLIR Tools搭載
  • 温度範囲 -20℃〜250℃