フジパーライト保温材(はっ水性パーライト保温材)
保温・保冷工事を行う目的には、熱の放散・侵入防止、一定温度の保持、火傷防止、結露防止、凍結防止などがあります。工事を行う目的に対して、最も効果を上げるためには、使用する保温材・保冷材が重要となります。
保温材・保冷材には、数多くの種類があり、大別すると無機多孔質系・発泡プラスチック系・人造鉱物繊維系に分類されます。当社では、無機多孔質系である「フジパーライト保温材」を製造・販売しております。
フジパーライト保温材は、三井パーライトを主原料に繊維、バインダーを混合して加圧成型したあと、高温で乾燥した成型品です。
形状は円筒状と板状の2種があり、すべてはっ水性の製品です。
- アスベスト、ホルムアルデヒドは含まれていません。
- 「フジパーライト」「カットエルボ」「マイナスエルボ」は、株式会社冨士パーライトの登録商標です。
製品の仕様と特性
製品と被断熱体表面温度の範囲
保温用断熱材「フジパーライト製品」は、図のように幅広い範囲の被断熱体表面温度に対応して使用できます。
4つのメリット
はっ水性
フジパーライト保温材のはっ水度は、98%以上と大きく、吸水率のきわめて少ない保温材で、抜群のはっ水機能を発揮します。
さらに、全面はっ水性を有していますので、施工時に切断加工しても、切断面は、はっ水性を保持します。
但し、250℃以上の熱を加えると、はっ水機能は著しく低下します。また、通常の使用方法であっても、はっ水機能は経年劣化します。
はっ水性による施工上のメリット
- 雨水による水分の吸収が他の保温材にくらべ極めて少ない。
- 外装材の破損、腐食および外装水切りの不充分な箇所などからの雨水の流入に際して水分の吸収が他の保温材にくらべ極めて少ない。
- はっ水効果により築炉工事でのキャスタブルのバックアップ材としても最適。
防食性
フジパーライト保温材は、塩素含有量が極めて少量です。このため、ステンレス系の配管・機器の保温材による応力腐食割れの防止とともに、カーボンスチール系の配管・機器の腐食保護材としても、優れた特性を一層発揮します。
熱膨張測定試験(試験例)(基準温度20℃)
普通品、高温用共に熱膨張は極小ですが、普通品は600℃を高温用は800℃を超えてから 収縮が大きくなる傾向があります。
保温工事におけるフジパーライトの経済的、標準的な保温厚さ
フジパーライト(普通品)の熱伝導率算出式に基づいて経済的保温厚みの計算を行うことができます。
使用年数、年間使用時間、内部温度などを想定していただくと、保温厚みごとにおおよその熱量コストや放散熱量などを確認していただけます。
本計算式は、当社製品「フジパーライト(普通品)」のみの計算式となります。
成形品と用途
- パイプカバー
- 配管(管径800A以下)に使用する。形状は円筒状。
- R付ボード
- 管径800φ以上の配管タンク、ならびに塔槽類に使用する。形状はR付板状。
- フラットボード
- 大型タンクや機器に使用する。形状は板状。
- フラットボード(高温用)
- タンクや機器に使用する。形状は板状。使用温度は900℃以下。(安全使用温度750度以下)
成形品をエルボ状に切断加工した製品。
厚みが100mmを超える場合は2層になります。
- 接着エルボ
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接着されていない組立エルボを取り付ける場合と比べて、作業効率が大幅に向上します。
また、現場で、直管材から切り出して取り付ける際に発生する粉じんが大幅に減るので、現場清掃が容易です。
- 組立エルボ
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500A×50t(7ツ割8分割)、これをリング状に丸めて、配管のエルボに組み立てると1個のエルボになります。
マイナスエルボ [特許取得商品]
当社では、当該製品を、中心点が保温厚みの内部(マイナス部分)に位置することから「マイナスエルボ」と命名し、特許を取得いたしました。
マイナスエルボの開発により、従来製造が困難であった、100A以下の小径配管のエルボも製造可能となりました。
- 特許証
鏡板用断熱材 カットカガミ [特許取得製品]
鏡板用断熱材「カットカガミ」は、取り付けが簡単で、施工の手間と時間が大幅に向上します。
特許を取得した新製法の設計技術により、優れた保温&保冷効果を発揮します。
- ①施工時間を大幅に低減
- 「カットカガミ」は、鏡板用断熱材です。従来の皿型製品に比べて、取り付けや運搬にかかる手間やコストを大幅に低減することができます。
- ②あらゆるサイズ、形状が製造可能
- JIS規格の形状だけでなく、寸法をご提示していただければ様々な形状の皿形鏡板に対応できます。
また、平鏡板や完全半球鏡板にも対応できます。
厚みは100mm以下(複層品は製作不可)。 - ③施工現場環境の向上
- 現場で切断加工する際に発生する粉塵等が大幅に減るため、現場清掃が容易です。
また、端材が発生しないので、産業廃棄物処理コストを削減することができます。
- 特許証
施工プロセス
「カットカガミ」は、分割した状態(1段目、2段目、3段目など)で、梱包・納品いたします。
施工現場では迷うことなく誰でも簡単に組み立てることができ、なおかつ短時間での施工が可能です。
パーツ内容は製造サイズによって変動します。
設計技術による精度の向上
従来の製法でカットされた断熱材ではどうしても隙間が発生してしまい、タンク内部の保温・保冷効果が十分とは言えない状態でした。
「カットカガミ」は、特殊な設計技術により断熱材のカット精度が向上したため、隙間なく断熱材を組み立てることが可能です。
従来の製品、あるいは施工方法に比べ、高い保温・保冷効果を発揮します。
タンクの胴体部分は、現状品で施工が可能です。
お取り扱い上の注意
- 保温材の破損、割れ等を防止するために、箱の上下逆置き、横倒し置き、衝撃等がないようにお取り扱いください。
- はっ水性ですが、極力雨水等がかからないように保管してください。吸湿された場合、化学反応を起こし、溶液として「アルカリ性の液」が発生することがあります。
- 保温材取り付け施工時、切断加工等で粉塵が発生しますので、切断場所の選定や防塵マスクの使用をお願い致します。
- JIS A9501では、保温材の厚みが75mmを超える場合は、複層を推奨しておりますが、当社では、単層で100mmの製品も製造・販売しております。
- 水蒸気や湿気は透過しますので、防露目的にて使用する場合には、充分な防湿処理を検討してください。
- pHが9.5〜11.5なので、アルミニウム及びその合金には適しません。
- 厚さが100mmを超える場合、2層目の成型型枠は既製の口径を基準にしておりますので、1層目と2層目の間に隙間が生じる場合がございます。
素材
主原料の三井パーライトは、真珠岩(玻璃質火成岩)を一定の粒度に粉砕した精石を、急速に加熱・膨脹させたもので、気密性の小さな気泡から構成されたきわめて軽い白色の粉体です。